大相撲コラムクラシックス
「何でしょう、この妙に燃え切らない感じは…?」


平成十六年大相撲夏場所は横綱朝青龍の13勝2敗の優勝で幕を閉じた。

今場所は本当に色々なことがあった。

横綱朝青龍が貴乃花・羽黒山・北の湖の記録を抜く35連勝を樹立し、それを平幕の北勝力が止めた。

さらに横綱は旭天鵬に吊り出しで破れ2敗目を喫し、北勝力は優勝争いのトップに躍り出た。

横綱戦の前にも大関を総なめにし、高見盛を秒でふっ飛ばす好調ぶり。場所後半は一躍時の人になった。

だがその北勝力は千秋楽で2敗目を喫し横綱との優勝決定戦。制したのは横綱で、3場所連続、そして7度目の幕内優勝を飾った。

黒海や玉乃島、金開山やが眼を見張る活躍を見せ、新入幕の白鵬は新入幕らしからぬ堂々とした相撲を見せた。

特に豪風戦での送り吊り落としなどは本当に驚いた。

そして何といっても特筆すべきは萩原・琴欧州・豊ノ島の3人の新十両。3人ともそれぞれの力を発揮し、

今後のファンの期待を一気に膨らませてくれた。

十両と言えば時天空の十両二場所目での優勝も忘れてはいけない。

そしてベテラン、貴ノ浪・濱ノ嶋・若ノ城の引退。

でもって聞いてびっくり見てびっくり、千秋楽結びの一番・懸賞が史上最多40本!記録が毎場所更新される異例の事態で嬉しい悲鳴。

まさに話題に事欠かない、先場所とはまた一味違った意味で充実した場所となった。

駄菓子菓子(だがしかし)っ!今場所、私の心には妙なモヤモヤというかしこりのようなものが残ってしまった。

なぜだろう。理由は自分でも分かっている。

まず、今場所は国技館に観戦しに行くのが早すぎたのである。

二日目に行ったのだ。まあ私はいつも場所の前半から中盤辺りに観戦しに行くことが多いのだが(中日以降に行ったことは皆無)、

今回は二日目。

やはり早すぎたような気がする。もうちょっと後の、せめて場所の雰囲気が練れた九日目や十日目頃に行くべきだったと思う。

クリアファイルはその日でももらえるわけだし。

やはり直に観戦した日から千秋楽まで日が開いてしまうと、妙な寂しさと言うか、テレビ桟敷での居心地の悪さを覚えてしまうのだ。

今度からもうちょっと我慢しよう。

あとは、やはり横綱の連勝が止まってしまったことだろうか。

私は正直、このまま横綱の連勝は大鵬や千代の富士に並び、あるいは超えると思っていただけに結構ショックだった。

まあそのショックは数日で吹っ切れたものの、何より不満のタネだったのは、そう。

NHKが深夜の「大相撲・幕内の全取組」をきちんと時間通りに放送しなかったからだ。

タイマー録画して記録を残そうとする熱心なファンとしてはとんだ迷惑である。

実際、今場所は横綱が北勝力に敗れた日のほか、計4日間も時間の繰り下がった日があった。

特にひどかったのが十三日目。十分の繰り下げのせいで、丁度結びの一番だけが録画できなかったのだ!

ホント凹む。やめれ。他には六日目には繰り下げのせいで北勝力が横綱に土を付けた一番も録画できなかったし。

いくらリアルタイムで見ていたからといってこれは泣けてくる。

だいたい本場所十五日間のうち四日間も繰り下げがあるというのは、NHKは一体どういうつもりなのだろう?

野球中継のように「何時何分まで繰り下げ」と新聞に表記するならともかく、

その場のノリでいきなりニュース番組を延長し、放送時間を繰り下げるのはマジで勘弁して欲しい。

何のために新聞のラテ欄に放送予定を掲載しているのか分からないではないか!

翌場所からはこういうことは本当にやめて欲しい。

あと、そうそう。

千秋楽の本割、白鵬には立ち合い変化などして欲しくなかった…。

北勝力の初賜杯の夢はあの変化で半ば絶たれてしまったも同然ではないか。

その結果として北勝力が落っことした優勝を横綱がひょいと拾った形になったが、

勿論横綱は落ちてきたチャンスをみすみす拾い損ねるような

肝の弱い人ではないことはもはや周知の事実である。うーん、正直今場所は北勝力に優勝して欲しかったのだがね。私だって。

いや、横綱の3連覇が決して嬉しくないわけではないのだが。

で、白鵬について。

まあ待ったや突っ掛けはともかく、新入幕で間合いを嫌うというのは頂けない。

本来「間合いを嫌う」行為は上位者がやることである。

新入幕で12勝3敗は賞賛に値するが、千秋楽のあの変化でファンの印象は悪くなってしまったと思われる。

今後このようなことがないように奮起して欲しい。

奮起と言えば、朝赤龍と闘牙の二人!

来場所は怪我を治して元気な相撲を見せて!二人が苦戦している姿を見るとこっちまで辛くなって来るんだよぉ。

でも二人とも千秋楽では勝ったので一安心。特に闘牙は高見盛をものすごい攻撃でKO。ありゃびっくりした。

あ、勿論高見盛も来場所頑張って欲しい。高見盛が勝つと、それだけで元気を分けてもらえる人が日本中にたくさんいるんだから。



何だか不完全燃焼になってしまった私の夏場所。来場所への期待は一層募る。


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