第七回 「反則勝ち力士・
リアクションあれこれ」


11月23日、平成十五年大相撲九州場所は大関栃東の優勝(13勝2敗)で幕を閉じた。

千秋楽の相撲、横綱朝青龍を相手に頭を常に低くあてがい、相手の突き起こしを堪え、力強いおっつけで完勝した。

まさに200点満点の相撲といえよう。

さて、ところで今場所の話題の一つに

「一場所で反則3回(これは十両以上に限る。それ以下の番付でも反則が数回あったらしい)」というのがある。

これははっきり言って異常事態である。何でまたこんなに反則が起きたのか?

大きな原因の一つに勝ち急ぐ力士が「すぐに叩く」ことがある。

ここ最近、折角相撲内容が良くなってきたと思っていたのに、今場所はあまりに引き叩きが多かった。

2,3番連続で叩きで決まることも多く、興ざめする部分があったことは否めない。

で、叩きに行く際に相手の首や背中を叩きたいところが、間合いが離れすぎており、

思わず掴んだ場所が髷であり、しかも引っ張ってしまった…ということが結果的に反則につながったように私は思う。

反則をしてしまった力士は負けになり、髷を掴まれた力士は白星を拾うことになる訳だが、

今回の問題は『髷を掴まれた側の力士の反応・アピール』である。

髷を掴まれた部分は行司さんから見にくい場合が多く、叩いたほうの力士に軍配が上がる事が多い。

そこで審判員から物言いがついた時に掴まれたほうの力士が頻りに自分の頭髪を触る「アピール」。

今場所休場した二子山審判長(元大関・貴ノ花)にかわって審判長席に座った間垣審判長代行(元横綱・二代目若乃花)も

「アピールはみっともない」と言っていた通り、正直見苦しい。

審判員の親方が土俵上で協議している時くらい大人しく待っているべきである。

さてさて、今回は今年反則勝ち(この表現も正確にはおかしいのだが…汗)した力士の反応のついて

検証してみようと思う。


事例1:名古屋場所五日目
○旭鷲山(反則)朝青龍●
の場合


えー、今年最初の反則であり、今年最も問題となった取組の一つがこれである。

この前の夏場所で旭鷲山に叩き込みで負けた朝青龍が仕返しとばかりに旭鷲山を無理やり叩き込んだところ、

髷を掴んで引っ張ってしまっていた、というものである。

物言いがつき、土俵から降りた旭鷲山は頻りに髷を触り、引っ張り、これ見よがしにアピールしていた。

はっきり言って私は、朝青龍が史上初の横綱反則負けをしたことよりも、旭鷲山の性質(たち)の悪いアピールに

大憤慨したものである。


事例2:九州場所四日目
○黒海(反則)五城楼●
の場合


五城楼という力士は突っ張りが小気味良く、引き叩き・変化も良くするが、苦し紛れやその場凌ぎの誤魔化しではなく、

思い切って決めてかかるので相撲っぷりに嫌味がない。私の好きな力士の一人でもある。

その五城楼が九州場所四日目に、この場所14勝1敗で優勝した黒海の髷を掴んでしまったのである。

そのとき黒海は物言いがついて土俵を降りる前、土俵上で髷を触ってアピールをしてしまっていた。

これはあまりにまずい。だが黒海は東欧グルジアからやってきて、大相撲の世界に入って日が浅いので

まあ仕方ないと言えば仕方ない。今後とも日本の国技大相撲の精神について勉強を続けていって欲しい。

黒海はとても真面目で勉強家のようだし、きっと角界で成功を収めるだけの実力を発揮できるに違いない。

それはともかく、このことに対して旭鷲山が「土俵上でアピールするのはよくない。するなら降りてから」などといった

コメントをマスコミに対していたのである。

…ここで私はまた大激怒。

土俵の上だろうが下だろうが「アピール」が良い訳ない。全く何を考えてるんだか旭鷲山は…。


事例3:九州場所六日目
○潮丸(反則)五城楼●
の場合


「踏んだり蹴ったり」という言葉がある。或いは「泣きっ面に蜂」と言うほうがこの場合は適切かもしれない。

六日目にまたまた反則負けを喫した五城楼。もちろん彼だって掴もうと思って相手の髷を掴んでいる訳ではない。

しかし、一度反則負けをしてしまい焦っていたのか潮丸を相手にまたやらかしてしまったのである。

だが潮丸は他の力士と違いアピールをしなかった。私は正直彼を褒め称え「なぜカド特別賞」をあげたかった(笑)

まあ、もしかしたら別に痛みを感じるほど強く引っ張られた訳ではないのでたまたま髷を触らなかっただけ、

なのかもしれないが。

やはり潮丸も気風のいい相撲で嫌味のない真面目な取り口の力士。

普段からの土俵態度が非常時にも影響する、ということだろうか。

なお五城楼はこの後足を怪我し、九日目から休場した。まさに「踏んだり蹴ったり」。


事例4:九州場所十二日目
○豪風(反則)朝赤龍●
の場合


朝赤龍も今場所「踏んだり蹴ったり」だった一人。

思うような相撲が取れず、相手の突っ張りが目に入り怪我をしたり、反則負けを喫したり…。

千秋楽では同じく負けが込んでいた旭天鵬に叩かれて相撲を取らせてもらえず結果3勝12敗。

見ていて可哀相になってきた…。

で、反則負けを喫してしまった十二日目。相手は豪風。

豪風もやはりアピールしていた。旭鷲山や黒海ほどあからさまでないのがまだ救いだった。

まあ引っ張られて痛いのは分かるがあとで床山さんが直してくれるんだし、男なら少しくらい我慢しなさい!(笑)


最後に


来場所は反則がありませんように…。

公傷制度が廃止になるため皆、簡単に勝ちに行きたいばかりに「引き叩き」が増える恐れがある。

もちろん、そうならないことを私だけでなく全世界の大相撲ファンが切に祈っているに違いない。

もし万が一、新年初場所の初日から反則があったりなんかしたら泣きますよ私ゃ…マジで。


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