なぜカド版・行司名鑑


さて、「なぜカド版・行司名鑑」です。
普段、力士のことはよく見ていても、行司さんに注目して見ている人はどれだけいらっしゃるでしょうか?
確かに土俵の主役は力士で、行司さんや呼出しさんは裏方、という印象があります。
しかし、私は行司さんも呼出しさんも立派な土俵の主役だと思います。
実は私、常々「行司さんになってみたかったなぁ」と思っているくらい、行司さんには憧れを抱いているのです。といっても、行司さんの採用条件に「両目の視力が裸眼で0.9以上」というのがあり、中学生の時点でその夢は既にぶっつり絶たれているせいもあるのですが(笑)
さておき、ここでは行司さんのことをもっとよく知って頂こうと、大相撲ファン初心者の方にも分かりやすく、主にNHK総合テレビの放送時間である幕内・十両の土俵を裁いている行司さんを私なりの切り口でご紹介して行こうと思います。


凡例

@所属部屋
A本名
B生年月日
C採用年月
D出身地


立行司

第三十一代
木村 庄之助
(きむら しょうのすけ)
※平成十七年九州場所限りで停年退職。
@立浪部屋
A阿部正夫
B昭和15年12月 3日
C昭和30年 5月
D北海道
平成十五年夏場所に三十二代伊之助から三十一代庄之助に昇格しました。
立行司になる前は「木村庄三郎」を名乗っていました。
そしてなんと、あの「ヒゲの伊之助」こと第十九代・式守伊之助の最後の弟子でもあります。

先代の三十代庄之助にも劣らないくらい所作のひとつひとつがキビキビしており、
取組中の足の運びも俊敏で、勝負がつく瞬間の腰の下ろし方・目配りもしっかりしており、
軍配裁きも鮮やかな、私の最も心酔する行司さんの一人です。
ちなみに私はその平成十五年夏場所を観戦しに行った際、一緒に記念撮影をして頂きました。
あの時はホント感激でした。

掛け声は「はーっけよーい、のぁかった、のぁかったぁ…」と少し高めの、かすれ気味の声です。


現役最後の土俵となる平成十七年九州場所千秋楽、最後の裁きを終え花道を下がる庄之助さんに、横綱朝青龍自らが花束と懸賞金を渡す感動的なシーンがありました。ちなみに私はこの光景を見てマジ泣きしました。
第三十二代
木村 庄之助
(きむら しょうのすけ)
@出羽海部屋
A澤田郁也
B昭和16年 2月13日
C昭和30年 5月
D北海道
上の三十一代・庄之助さんの停年退職後、三十三代伊之助から三十二代庄之助に昇格したのがこの方。
伊之助に昇格する前は「木村咸喬(きむらしげたか)」を名乗っていました。
太くて威厳のある声が特徴。
顔も強面(こわもて)で、その佇まいには風格と共に威厳が大きく漂っています。
平成十八年初場所限りで停年退職となり、協会の計らいで現役最後のひと場所を庄之助として務めます。

掛け声は「はーっけよおおぉい、なぁがったなぁがったなぁがったぁ!」

第三十四代
式守 伊之助
(しきもり いのすけ)

@貴乃花部屋
A棚田好男
B昭和16年 2月10日
C昭和30年1月
D北海道

かなりの長身です。脚が長いせいか、立ち合い軍配を返した構えの際、
すごく脚を大きく開いているように見えます。
呼び上げや勝ち名乗りは太く幅のある声ですが、取組時の掛け声はやたらと甲高いです。
とても特徴的な掛け声なので、
「何気なくテレビで大相撲を見ている、別に熱心ではないファン」のような人たちにとっては、
もっとも印象に残りやすい声だと思います。
また、力士の立ち合いが合わなかったときの「まだまだ!」の声がやたらと大きいのも
特徴でしょうか。
 
三十一代庄之助さんの停年退職に伴い、木村光之助から三十四代伊之助に昇格しました。平成十八年初場所限りで停年退職です。


掛け声は「のこったっ、のこったっ、のこったぁ!」


三役格行司

木村 朝之助
(きむら あさのすけ)
@高砂部屋
A野沢要一
B昭和17年 3月28日
C昭和30年1月
D青森
掛け声は少し濁ったような声で、あまりきれいではありませんが、
所作は惚れ惚れするほど丁寧でキビキビしています。
特に時間前の仕切りの時のぴしっとした姿勢や、時間一杯の軍配を返した時の立ち姿などが
何とも言えず素晴らしいです。
他の上位行司さんに比べあまり目立った存在ではありませんが、
渋い「いぶし銀」のような風格があります。

掛け声は「はっけよーい、ながったながったぁ、ながったながったぁ!」
式守 錦太夫
(しきもり きんだゆう)

※平成十七年秋場所限りで停年退職。
@二所ノ関部屋
A中島忠雄
B昭和15年 8月 6日
C昭和31年3月
D佐賀
見た目はかなり老けておられますが(失礼!)、声の掛け方や所作が大変丁寧でとても風格があります。
差し違いも非常に少なく、判定の難しい微妙な一番でも的確に軍配を上げています。
ただ、立ち合いで装束の裾を捲し上げる時、若干おみ足が見えるのが気になりますが…(笑)。

掛け声は「なぁがったながったっ、なぁがったながったっ!」
式守 与太夫
(しきもり よだゆう)
@伊勢ノ海部屋
A伊藤勝治
B昭和18年 4月21日
C昭和31年1月
D東京
かなり長身の行司さんです。幕内格行司の中では一番上の地位で、
十六年初場所現在、幕内前半最後と後半最初の取組を裁いています。
大相撲ファンの間では「電脳行司」として知られ、伊勢ノ海部屋の公式HPで自分のコンテンツを持っており、
写真や動画もアップしています。
またコナミより発売中のPS2ソフト「日本相撲協会公認・日本大相撲・激闘本場所編」での
行司の音声も吹き込んでいます。

昔から館内放送を担当しており、その甲高いアナウンスはある程度古いファンの方なら
何度も聴いたことがあるはずです。
ただ、現在は与太夫さん自身が上位の行司さんになったため、ほとんど館内放送をすることはありません。
館内放送担当の行司さんというのは、基本的に自分の土俵上の出番が終ってから館内の行司部屋に戻って、
装束からスーツに着替えて、それから西花道脇のアナウンス席に向かうのですが、
上位の行司である与太夫さんは、自分の取組が終ったらもう残りの取組数がほとんどないので、
着替えてからアナウンス席に行く時間がほとんどないんですね。
ですが、今でもたまに館内放送をしている時があります。
自分が観戦しに行ったときに与太夫さんの館内放送が聴けたりすると、
すごく得した気分になること請け合いです。
現在大相撲の携帯サイトでも与太夫さんのアナウンスが着ボイスとしてダウンロードできます。

掛け声は「はーっけよーーーい、ながったながったながったぁ…」とあまりきれいな声ではありませんが、
館内放送はよく通る聞き取りやすい声です。
木村 一童
(きむら いちどう)

※平成十七年九州場所より木村孔一(きむらこういち)から木村一童に改名。
@北の湖部屋
A入枝政次
B昭和16年 3月 3日
C昭和30年1月
D長崎
所作、土俵上の動き共に鮮やかで華やかですが、ちょっとわざとらしくも見えます。
でも眼に持病がありながら、取組中はあれだけ素早い動きが出来るのですからすごいです。
ただ怪我や病気で休場することが多く、立行司になるのは無理かもしれませんが…。

声は幕内格以上の行司の中ではもっともいい声です。
「なかったなかったなかったなかったなかったなかったぁ…」と細かく連呼するのが特徴です。
また呼び上げや勝ち名乗りではかなり伸ばします。高校野球のサイレン並みに余韻が残ります。


また、この度、停年間近になって改名したことが話題になっています。

幕内格行司
木村 城之介
(きむら じょうのすけ)
@立浪部屋
A内田順一
B昭和21年10月29日
C昭和37年4月
D宮崎
所作も丁寧なほうで、土俵上の動きにも素早いながら堂々とした落ち着きが見られます。
このまま頑張れば庄之助になれる可能性は充分あるのではないでしょうか?

掛け声は「のこったのこったのこったぁ…」
式守 勘太夫
(しきもり かんだゆう)
@伊勢ヶ濱部屋
A三浦國男
B昭和17年 8月17日
C昭和30年6月
D青森
残念ながら幕内格行司の中では一番動きが緩慢です。
ほぼ同期である庄之助・伊之助の両立行司や、一年後期の錦太夫さんに序列を抜かされているのは
そこが理由でしょうか。
でも最近では所作にだいぶ気を遣うようになったように見えます。
一時は時間前の仕切りの際、ただ横を向くだけで足の位置を変えなかったり、
取組中には力士(確か、蒼樹山/現・枝川親方)に足を踏まれるなど「おいおい」と言いたくなる場面も
稀にありましたが…。

掛け声は「のごったのごった、のごったのごった…」
勝ち名乗りや呼び上げの時、力士の四股名をほとんど伸ばさないのが特徴。
ちなみに永谷園「お茶漬け海苔」のCM(高見盛、懸賞旗に気をとられるVer.)でチラッと映っている行司さんがこの方。
式守 與之吉
(しきもり よのきち)
@井筒部屋
A山崎敏廣
B昭和23年 5月16日
C昭和39年4月
D鹿児島
飄々とした感じの所作です。
信孝さんほどではありませんが結構力士から離れて見ます。

なお、現在番付表を書いているのがこの方です。
前に担当していた三十代・庄之助さん(番付書きを担当していた頃の名前は木村容堂さん)の字に比べると
雰囲気がだいぶ変わりました。

掛け声は「なぁったなぁったなぁった…」
木村 信孝
(きむら のぶたか)
@放駒部屋
A上田延秀
B昭和25年 2月27日
C昭和40年4月
D京都
取組中、かなり力士から離れたところで見るのが特徴でしょうか。
所作はそれほど丁寧ではないです。

掛け声は「ながったながったながった…」
木村 庄三郎
(きむら しょうざぶろう)
@大島部屋
A畠山三郎
B昭和25年 3月16日
C昭和40年6月
D青森
十六年初場所現在・十両最後の二番を裁いています。
所作には気を遣っているようですが、下の正直さんとは対照的に、
ゆっくりとした動作にこだわりがあるように見えます。
決着がつく時の腰の下ろし方はかなりしっかりしています。

掛け声は「なぁった、なぁったなぁった…」
掛け声は低いですが、勝ち名乗りや呼び上げの時は割と高い声になります。
木村 正直
(きむら まさなお)
@朝日山部屋
A山内幸久
B昭和28年 8月 3日
C昭和44年4月
D岐阜
所作はキビキビしていますが、意識しすぎなのか動きが少し大げさです。
ただ、時間いっぱいの立ち合いで、一歩前に出て腰をしっかり下ろして「待ったなし!」の声を掛けるところにはこだわりが感じられます。

掛け声は「なぁがったなぁがったなぁがった…!」
かなり気合の入った大声です。
式守 錦太夫
(しきもり きんだゆう)
@宮城野
A野内五雄
B昭和34年12月23日
C昭和50年2月
D大阪
所作はかなり丁寧なほうで、土俵上の足の運びも俊敏です。

掛け声は「はっきょいのこったのこったのこった…」
かなり甲高い声です。まるで「美味しんぼ」の上司(係長でしたっけ?)が行司さんになったみたいな感じ。

昨年まで木村吉之輔を名乗っていましたが、平成十八年初場所から式守錦太夫を襲名しました。
木村 和一郎
(きむら わいちろう)
@高田川
A今岡英樹
B昭和34年 9月22日
C昭和50年4月
D島根
取組での掛け声は太くて高い声でカッコイイですが、館内放送では低くこもった声です。若干聞き取りづらいです。

十両格行司
木村 玉治郎
(きむら たまじろう)
@立浪
A武田雅史
B昭和35年12月27日
C昭和51年2月
D千葉
掛け声は「なこっと、なこっとなこっと…」と聞こえます。
この掛け声は師匠譲りなんだとか。
木村 恵之助
(きむら けいのすけ)
@九重
A洞澤裕司
B昭和36年10月30日
C昭和52年11月
D東京
高見盛出演の「永谷園・おとなのふりかけ」CMで行司音声を吹き込んでいるのがこの方です。
ちなみに「ラーメンちゃんこ」のCMの声は元・三役行司の式守錦太夫さんです。
木村 善之輔
(きむら ぜんのすけ)
@春日野
A森田善光
B昭和38年9月12日
C昭和54年11月
D神奈川
館内放送も担当しています。
放送時はメガネをかけています。
木村 晃之助
(きむら こうのすけ)
@九重
A小島俊明
B昭和40年4月21日
C昭和56年3月
D岩手
光之助さん、吉之輔さんと並び、「甲高い声」トリオのうちの一人です(笑)。
木村 寿行
(きむら ひさゆき)
@大島
A波田寿和
B昭和42年6月27日
C昭和58年5月
D鹿児島
元小結・現タレントの旭道山の実弟です。
たまに兄の旭道山と一緒にテレビ番組(主にテレ東の旅番組)などにも私服で出てます(笑)。
式守 錦之助
(しきもり きんのすけ)
@伊勢ヶ濱
A菊地浩
B昭和43年11月15日
C昭和59年3月
D東京
館内放送も担当しており、相撲協会の携帯サイトで着信ボイスがダウンロードできます。
木村 元基
(きむら もとき)
@湊
A岡村浩道
B昭和43年8月6日
C昭和59年3月
D東京
十両格行司になったばかりなので、まだ裸足のイメージがあります(笑)。
木村 秋治郎
(きむら あきじろう)

@三保ヶ関
A中沢繁広
B昭和45年7月5日
C昭和62年1月
D兵庫
超アンコ行司として知られています。
また、改名前の木村鎮秋時代に「やくみつるのおチャンコくらぶ」でその巨漢振りをネタにされていました。



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